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キリスト教との出会い

シスター 渡辺 和子

今日の心の糧イメージ

浄土真宗の家に生まれ、育った私が、初めてキリスト教なるものと出会ったのは、吉祥寺の成蹊小学校を卒業後、四谷の雙葉高等女学校に入学した時でした。母にしてみれば、父の非業の死の一部始終を目撃した私を、ミッションスクールに、入学させたかったのかも知れません。

14歳の時、戦争が始まったこともあって、キリスト教色は少なく、私も、関心はおろか、時には反発を抱いて雙葉を卒業しました。その後、当時女性の高等教育の場といえば、高等専門学校でしたが私が入学したのは、これまた、東京聖心というキリスト教の学校でした。

戦争が敗戦で終わる4ヶ月前、私は思うところがあってカトリックの洗礼を受けました。そして、その11年後、当時制限年令を30歳としていた修道会に入会したのです。私の修道会入りは、キリスト教というものに出会ったからではなくて、そのキリスト教を生きていらしたシスター方、神父さまたちと出会ったからでした。

キリスト教との出会いということも大切ですが、もっと大切なのは「キリストとの出会い」ではないでしょうか。数多いキリスト教会も、キリスト教学校も、キリスト教との出会いの場として極めて重要です。でも、そこで「キリストと出会う」ことができているかどうかが問われると私は、自分の経験から思うのです。

今、私の大学にも2000名以上の女子学生たちが勉強しています。そのうちのクリスチャンは僅か10名位ですが、この人たちが、私たちの大学で学んだが故に、その生涯のどこかで、キリストと出会ってくれること、それが私の日々の祈りであり願いなのです。