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キリスト教との出会い

村田 佳代子

今日の心の糧イメージ

私が3歳3ヶ月になろうとする昭和22年4月9日、弟が誕生しました。この日はイースターの日曜日で、母は大きなお腹をかかえて教会へ向かおうとして、産気づいたのでした。手を引かれて母に従っていた私は、何が何だか解らぬまま母と家に戻りました。祖母が急いで寝具を整え母を休ませ、叔母が助産婦さんを呼びに走りました。祖父は医者でしたのでお湯を沸かし白衣を着て、母の枕元につきそったところ迄、私は覚えています。

助産婦さんはシスターでいらしたので弟を取り上げると、お祈りを声を出してとなえられたと後で母から聞きましたが、隣の部屋で叔母に抱かれながら2人で耳を澄ましていた私は、オギャーという赤ちゃんの元気な声に続く、歌うようなシスターの声がしたことを、今も記憶しています。

母は戦後赤ん坊の私をかかえ、肉親がバラバラになって消息も解らないまま、不安と悲しみで教会に救いを求めたのでした。近所のプロテスタントの教会でしたが、牧師先生の御家族が親身になって母を支えて下さり、昭和21年のクリスマスに洗礼を受けてクリスチャンになりました。

シスターの助産婦さんを紹介して下さったのも、牧師夫人であったそうです。母は弟をイースターに授かった事を、弟が亡くなる迄、特別に思っていました。

一方私は4月から3年保育で、教会の幼稚園に通うようになりました。小学校もミッションスクールでしたので、もの心つく頃には既にキリスト教の環境の中で育っていたという事になります。

中学生になる迄、日曜学校は皆勤という子供でしたが、思春期の生意気盛りに教会を離れました。やがて聖心女子大学4年の黙想会の折、自らの心を見つめ直して洗礼を決意したのでした。