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キリスト教との出会い

シスター 菊地 多嘉子

今日の心の糧イメージ

ある晩秋の夕暮れ、友人に伴われて教会を訪れ、聖堂の重い扉を開けると、中はステンドグラスの窓からこぼれ落ちる七色の光。

中央の奥、祭壇に置かれた十字架の静けさ。ふと、左側の小祭壇を眺めたとき、私は信じ難い驚きと喜びに打たれました。幼いイエスを抱いた聖母像が目に入ったからです。

10歳の頃から憧れ、語りかけていたお方が、ここ、カトリック教会で私を待っていてくださったとは!聖母像を仰ぎ見ながら、われを忘れている傍らに、いつの間にか白い修道服の司祭が近づいて、優しく囁かれました。「この方は聖母マリア。救い主イエス・キリストのお母様で、あなたのお母様ですよ。」

思えば、小学3年生のとき、雑誌の口絵にあった、ラファエルの聖母子に心を打たれ、額に入れて勉強部屋に飾ったのが、聖母との出会いの初めでした。5歳で母を亡くした私は、この絵を眺めながら、朝に夕に祈っていたのです。「もし、このようなお母様がいらっしゃったら!」と。6年の間、聖母が実在するお方であることも知らずに祈り続けてきた私に、神様が司祭をとおして答えてくださった恵みの瞬間を、生涯忘れることはないでしょう。

この日から3年が過ぎ、ようやく父の承諾を得て、聖母被昇天祭の朝に洗礼を授けて頂いた喜びと感謝を表す言葉がありません。聖母に導かれてイエス様に出会い、御父に自分をゆだねて生きる喜びは、年を重ねる毎に深まっていきました。

やがて、医学の学びを終えた後、「聖母に捧げられた修道会で生涯を神様に奉献し、苦しむ人々の支えになりたい」との望みも実現したのです。「聖母に願ってかなえられないことは何ひとつない」と言った聖ベルナルドの言葉はなんと真実なのでしょう!