心新たに

片柳 弘史 神父

「あれもしたい、これもしなければ」と思い乱れる心を整理するための、とっておきの方法がある。それは、自分が本当にしたいことが何なのかを見極め、それを実現するために必要な思いだけを残して、あとの思いを手放すことだ。心をかき乱す思いを、無理に消そうとする必要はない。思いに優先順位をつければいいのだ。買い物をするとき、「あれも欲しい、これも欲しい」と欲しい物を手当たり次第に買う人はいないだろう。必要性が高いものから計画的に買い、あまり必要がないものは後にまわすはずだ。それと同じことを、「あれもしたい、これもしなければ」とあせり、入り乱れる思いに当てはめればいい。

一番大切なのは、自分が本当にしたいことが何なのかを見極めるということだ。自分の心としっかり向かい合い、いまの自分が最も望んでいることを探し出す必要がある。これは、意外と難しい作業かもしれない。「痩せたい、けど食べたい」とか、「出世したい、けど家族も大切にしたい」とか、互いに矛盾する思いが入り乱れる心の中で、どの思いが自分の本当の思いなのかを見極めることは、それほど簡単ではないのだ。

だが、優先順位をつけることは必ずできる。自分にとって何が本当の幸せなのか。自分の幸せは出世なのか、それとも家族と共に過ごす時間なのか、世間の評価や自己実現なのか、それとも家族との愛の絆なのか。自分の心とじっくり向かい合い、とことん突き詰めていくなら、答えは必ず見つかるはずだ。自分の一番正直な思い、自分の心の一番奥深いのぞみを見つけ出すのだ。

一年の始まりは、そのような作業をするのにふさわしい時だろう。自分が本当にしたいことを見極め、心をすっきりと整理して、さわやかなスタートを切りたいと思う。