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クリスマスのおとずれ

シスター 菊地 多嘉子

今日の心の糧イメージ

福音記者聖ヨハネは福音書の冒頭に、荘重な書き出しで、全人類の救い主イエス・キリストはどのような方であるか、を記しています。「初めにみことばがあった。みことばは神とともにあった。みことばは神であった。」(1・1)「みことばのうちにいのちがあった。このいのちは人間の光であった。」(1・4)「みことばは人となり、われわれのうちにやどった。」(1・14)と。

この、人となられたみことばは、どのように誕生されたのでしょうか。これを書き記したのが聖ルカです。ガリラヤのナザレに住んでいたヨセフのいいなずけ、おとめマリアに神のみ使いが遣わされ、救い主の母となることを告げたとき、マリアはすべてを神の手にゆだねて、「私は主のはしためです。おことばどおり、この身になりますように」と応えました。(ルカ1・38)

聖ルカは、臨月を迎えたマリアがヨセフに伴われてベトレヘムに旅立った次第を物語っています。旅先の家畜小屋で、マリアは神のみ子イエスをお産みになったのです。飼い葉桶に寝かされた無力な乳飲み子に、神のみ子の栄光を見ることの出来る人が果たしているでしょうか。

この夜、誕生した救い主を訪れる喜びを味わった人たちがいました。野宿して羊の番をしていた羊飼いたちです。前代未聞の出来事を彼らに告げたのは、神のみ使いたちでした。「産着にくるまれて飼い葉桶に寝かされている乳飲み子、これが救い主のしるしである」と。(ルカ2・12)

クリスマスの祝いは、貧しさと静けさに包まれた神秘に満ちています。この神秘を解く鍵、それは愛です。ここまで私たちを愛してくださった神様の愛なのです。