私たちの一生は、「迷い」の連続といってもいいでしょう。小さなことでは、今日は何を着ていこうかという迷いから、大きなことでは、生死にかかわることについての迷いまで、大小さまざまあります。
迷うことができるのも、一つの恵みです。ナチスの収容所に送られた人々には、迷うことは許されませんでした。すべてが命令による強制であり、人は、選択する自由、つまり、迷う自由を剥奪されていたのです。
「迷った時には、それぞれのプラスとマイナスを書き出し、重みによって決めなさい」 修道生活か結婚生活かの選択に迷っていた私に、上司であったアメリカ人の神父が教えてくれたことでした。
赤ちゃんを産む決心をした卒業生は、大学での講議を思い出し、プラスの欄に、「神のご加護」と大きく書き込むことにより、自分の迷いに終止符を打ったのでした。