さて、心理療法という仕事を通して実に大勢の方々の苦悩に触れてきましたが、退院していかれる人々の共通点は、人生での難問を受け止める覚悟にあるようです。現実での厳しさを逃避して、何とかその重みを避けようとすればするほど、身体症状が出てきます。正面から覚悟を決めて腹をすえると、身体症状が激減していくのです。この人間の不思議さは一体何だろう、といつも思索してきました。 求めよ、さらば与えられん、という言葉がありますが、私の輝いた心は傍から見れば非常に惨めに見えたかもしれませんが、当の本人は輝いていたのです。「心輝かせて生きたあの頃の私」は自己実現に向かう人間の輝きだったのかもしれません。現実の困難をものともせず、ひたすら全知全能の神様の愛と摂理を信じた若い頃の戦う私を懐かしく思い出しています。