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心輝かせて

植村 高雄

今日の心の糧イメージ

 心が輝いていた人生場面を思い返すと、不思議な事に私の場合は物事が上手く流れていない時のようです。周囲の人々は私が苦労して、もがき苦しんでいるように見えていたようです。しかし本人は希望に燃えて突進しているわけです。

 心輝かせていた事例を 10位思い出したのですが、あれもこれも全てが上手くいっていない時のようです。この心輝かせていた頃の私は孤独感、停滞感、絶望に近い感情に、時々苛まれていたようです。30代から40代にかけての働き盛りの時代に感じた感情生活は激しいけれども、希望に満ちていて、その希望達成への願望や情熱の勢いは、いまから思うと、物凄いものでした。命が燃焼しているような感覚なのです。この激しい奔流のような想い出は今の私をとても幸せにしてくれていますし、人生に悔いが無いとも思わせているようです。

 さて、心理療法という仕事を通して実に大勢の方々の苦悩に触れてきましたが、退院していかれる人々の共通点は、人生での難問を受け止める覚悟にあるようです。現実での厳しさを逃避して、何とかその重みを避けようとすればするほど、身体症状が出てきます。正面から覚悟を決めて腹をすえると、身体症状が激減していくのです。この人間の不思議さは一体何だろう、といつも思索してきました。 求めよ、さらば与えられん、という言葉がありますが、私の輝いた心は傍から見れば非常に惨めに見えたかもしれませんが、当の本人は輝いていたのです。「心輝かせて生きたあの頃の私」は自己実現に向かう人間の輝きだったのかもしれません。現実の困難をものともせず、ひたすら全知全能の神様の愛と摂理を信じた若い頃の戦う私を懐かしく思い出しています。