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心輝かせて

黒岩 英臣

今日の心の糧イメージ

 私達夫婦も年をとったなー、と思うことが多くなってきました。

 それに伴って「心を輝かせて」行動するという、思わず目の覚めるような状況は、すでにもう何年も、胸の内に味わったことが無いのです。

 勿論、ありがたいことに、喜びを感じていることも多いのですが、それは、落ち着いた、心にしみじみと感じ取れる種類の喜びで、心がときめくとか、目を瞠るといった、若い頃もっていた心持ちとはちょっと違っています。

 子供の頃は、明日が遠足ともなれば、嬉しくて眠れなかったものですよね。しかし今、いつの間にか老境に入ってきて、俄かに?でも無いか?神が待っていて下さる天のみ国へと、心が向くことが多くなってきました。特に妻がそういう傾向にあります。というのも、私は以前ほどではないにしても、やはり演奏活動を続けていますし、そのためには相当な努力を傾けて勉強しなければ無理なのです。つまり、記憶力が落ちているのは確かなので。その上、今、皆様が聴いて下さっているこのお話も、書かなくてはならないわけでして。

 妻のことに戻りますが、私がそれほど大変な思いをして、また、努力もしている間、妻はぬくぬくした台所で、お気に入りの刑事ドラマとか大相撲とかの番組を見、更にお気に入りの競馬をみて楽しんでいるのです。丁度私がそこに顔を出すときには、「またギャンブルやってるの?」とからかうのがとても楽しいですねー。

 こうして私達夫婦も、人生の最終コースに入っているのでしょう。そして、 ついに神様にまみえるその時こそ、私達の心は喜びのあまり輝きわたり、何もかも想像を絶するそのお姿に、私達の目は涙にくれることでしょう。嬉しくて。