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心輝かせて

シスター 渡辺 和子

今日の心の糧イメージ

 「87歳まで、何も見つからないほうがおかしいですよ」。

 ご丁寧に4度目の圧迫骨折をしてしまい、しばらく入院、さまざまの検査を受け、その結果、いくつかの"ちょっと怪しいもの"が見つかった時に、医者から言われた言葉でした。

 たしかに。そう言われれば、うつ病、膠原病、胆石除去の手術を受け、ステロイドの副作用もあって、骨粗鬆症となり、何度か痛い思いをしながら、何とか今日まで働くことができていました。

 その私も、昨年末は疲れ切って入院し、昼夜眠り通しました。その後、シスター達が言いました。「顔が元気そうになった」。どれほどカモフラージュしようとも、疲れた時は疲れた顔をしていたようです。そんな時には、どれほど努力しても、「心輝かせて」生きることなど無理なのです。

 人間ですから、どうしても心が落ちこむ日があるのです。心の問題である時もあれば、体がどうしても、言うことをきかない時があるのです。そんな時に私は、母の言葉を思い出します。「あなたには、他人の生活まで暗くする権利はない。」

 心を輝かせようにも、それができない日があること、そのことを経験して、初めて他人にも、そういう日があっていいことに気づけるのではないでしょうか。そして、少しですが、優しくなれるのです。

 イエスさまも、きっと、心輝かせて生きられない日が、おありだったに違いない。「そうでしょう。だから、この、ふがいない私をゆるしてくださいね」と申しあげると、「うん。わかった」と、笑顔で優しく言ってくださるイエスさま、私は、そのみ言葉で、また元気をいただくのです。