体調がすぐれない時、今日は行くのをやめようかなと思うこともあったが、それでも自分を励まして病院へ行った。
すると母は満面の笑みを浮かべて私を迎えた。母の食事介助や、おしゃべりの相手をしていると、体調が悪かったことなどすっかり忘れるのは不思議だった。帰り道の足どりはとても軽くなっていたp>
「どうして、それほどまでして行くの?」と友人に聞かれたことがある。その時、私は「行かないと心が痛くなるから」と答えた。実際、天候が悪いからとか、熱っぽいからといって行かなかったことが数回あった。そんな夜、母が待ってただろうな、病室の入口の方ばかり見て、やがて夕食の時間になって、がっかりしただろうなと想像すると、心が痛くなって眠れなかった。
体の楽を選ぶか、心の楽を選ぶかと誰かに聞かれたら、心の楽とすぐ答えるだろう。やがて友人の姑も入院した。彼女は1日おきに姑の見舞いに行くと決めて、病院に通った。
「美沙ちゃんの言ってたことが、今頃になってよくわかったわ。こないだ風邪引いて、一週間ほど病院へ行けなかったんよ。うつしたらあかんからね。その間、本当に心が痛んだんよ。やっと風邪が治って見舞った帰り、どんなにか心が軽くなってスキップしたいほどやったんよ」と友人は笑顔で報告した。その日以来、毎日通っているそうである。