痛みはどこから生じるかと言いますと、思い通りにならない場合に発生するストレスです。不安、怒り、憂鬱なことが痛みの原因ですが、この痛みは、自分の成育史と呼ばれる過去の日々の歴史の中で生まれてくる理想の世界、こうありたい、こうあらねばならないという領域と現実とのギャップが心の痛みの姿なのです。
理想をいったん諦めるか、厳しい現実をいったん、あるがままに受け入れるか、あるいはその中間のどこかで、おさめどころを決めるか、この決断をしないと、いつまでもダラダラと生きていく羽目になります。このダラダラが身体症状を生んでいきます。
心理療法の世界ではこの[心の痛み]は、その人が幸福になる為の重要な指針として解釈しています。本気で取り組む事柄でなければ心は痛みません。どうでもいい事は、心は痛みません。その人の理想の領域を検討し、現実の解釈を検討します。理想に病的なものがあれば、それを話し合い、解釈に病的なものがあれば、話し合います。
コップに半分の水がある場合、もう半分しかないと絶望するタイプの人、まだ半分もあると、勇気と希望をもって最後の一滴になるまで戦う人のタイプの違いです。心の痛みは、幸福への重要なシグナルであることを意識しておきたいものです。