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それでも感謝

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

 多くの恵みをもたらす微笑みの大自然、それが突如変貌、如何ともし難い壮絶な威力をもって東日本を襲い、世界を震撼させた、あの三・一一から、3年。その恐ろしさ、恐怖は、なお消えません。その決定的収拾策は、いまだ模索中。一刻も早い収束が、望まれます。"人間の高慢さ"とも言われかねない「人間の自然開発」その力が試されています。実際、人間の高慢、無力、そして人間の知識、いのちの儚さを、瞬時に知らしめられた、忘れべからざる3月11日であります。そのあと、すべてを奪い去られたふるさとに、謙虚にひざまずき、手を合わせ、言葉にならない深い祈りを捧げる被災者の姿を目の当たりにし、多くの人々が涙し、祈りを共にしました。その厚い祈りは、今も続いています。その自然発生的な一致団結の真心は、必ずや天に届き、これからの再建、復興の力、エネルギーの根源になるに違いありません。

 大昔から自然災害に見舞われ続けている地球、その上に暮らす人間が、なぜ長らくその自然災害に無力のままでいるのか、その姿に憂慮しないではおれません。弱い人間、その力の限界、それに伴う危機感など、いろいろ推察、連想されます。

 ところで、時あたかも、私たちの上空、地上400キロの宇宙では、昨年秋に打ち上げられた、若田光一さんが船長のソユーズ宇宙船が今も知らないうちに何回も頭上を旋回し続けています。三・一一天災人災を克服できないでいる厳しい科学の現状と裏腹に目覚ましい科学の進展を目撃、実感しています。

 被造物の人間、神に感謝するとともに、科学がその掟に背くことなく、あくまでも人類の幸せと平和に尽くすことを願って止みません。

 (このお話は、2014年3月に放送されたものです。)