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神の呼びかけ

高見 三明 大司教

今日の心の糧イメージ

 理性と自由意志と愛する心を備えている人間のいのちは、神様からの授かりものです。そして、ほかの人を愛し、ほかの人から愛されるとき、ほんとうの意味で生きていると言えるし、生きていると実感します。

 人間は、何事においても究極的には、愛を求めつつどのように愛すればいいのかを考え、自由に行動しています。同時に、神様は人間の自由を尊重しつつ、ほんとうに愛するためには何をどうすればよいのかを示そうとして、一人ひとりに呼びかけられます。神様の呼びかけは、ほとんどの場合、ほかの人のある言葉や態度、ある出来事などによって示されます。それは時には大きな使命を求めることもあります。人間は、その呼びかけに自由に応えながら、ほんとうの愛へと導かれて行くのです。

 このように、人間は、自由でいながら、いつの間にか神様の導きのままに進んでいるのです。聖書に「人間の心は自分の道を計画する。神が一歩一歩を備えてくださる。」(箴言16・9)とあります。不思議なことに、神様は人間の自由を尊重しながら、なおかつうまくご自分の望みを果たそうとしておられるのです。

 しかし、神様は、時には、人間の計画や企てを壊すときがあります。これは、人生が自分の思い通りに行かないという事実と合い、自分の望みを常に果たすことができないということを理解しています。それでも、神様はご自分が計画したことを実現し、望むことをすべて実行し、約束したことを果たされるのです。

 神様の呼びかけは、「こうしなさい」という場合と、「そうしてはならない」という場合があるかもしれません。でも、どちらも神の声です。それは最後には人間をほんとうの愛、ほんとうの幸福へと招く呼びかけなのです。