西欧の修道院生活の基礎を築いた聖ベネディクトが、「祈り、働け」ということを言っています。まさにこれが、「働く喜び」そのものではないでしょうか。
そして、もう一つ、この「働く喜び」ということで私が思いだすのは、聖書の中のマリアとマルタの話です。(ルカ10・38〜42)自分の家のキリストを迎えた姉のマルタは、キリストへのもてなしに、台所でおおわらわなのです。ところが妹のマリアは何も手伝わず、ただキリストの足下に座って話を聞いているのです。それでマルタはキリストに「妹に私を手伝うように言ってください」と頼むのです。するとキリストは「マリアは大切な方を選んでいる」と言うではありませんか。私は、キリストがマルタに厳しすぎると感じ、マルタに自分を重ね合わせて、悲しく思いました。でも、あるとき、ふっと気がついたのは、どうしてもお台所をしなければならないのならば、喜びをもって人のために働きなさいということではないだろうかということです。
友人が、洗礼名にマルタを選んだとき、その友人を本当に素敵だと思いました。