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心新たに

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

 わたしたち夫婦は、ちょっとした喧嘩をしても、翌日の朝は何事もなかったような顔をして挨拶をします。今では二人の習慣になりましたが、それは、夫がいつも私にしてくれたことでした。

 結婚したばかりの頃、二人の意見が合わずに気まずい思いをしたことがあります。翌日、私は重い気持ちで夫のお弁当をのろのろと作っていました。すると彼が台所にいる私に向かってにっこりして「おはよう」と明るい声で言ってくれたのです。その様子は、昨日何事もなかったかのような態度でした。「どうしてこんな風にできるのかな」と考えながらも救われる思いがしました。そんなことが時々ありました。そのたびにありがたいなぁ、と思い、私も夫をまねるようになったのです。

 些細なことのようですが、これは努力のいることです。でも、くり返しそうしているとだんだんとすぐにできるようになります。

 仕事の労苦、疲労など誰でも生活の重荷を担っています。思いやりをもって許しあうことは、相手の荷物を軽くしてあげることになります。「おはよう」と言って過ぎたことは忘れてしまうと心が新たにされて気持ちのいい朝を迎えられます。

 神さまも私たちの過ちをすぐに忘れてくださいます。だから私たちも、相手を責めたり、自分の意見に何日もこだわり過ぎないことです。それから、相手が特別に辛い状態のときや、ピリピリしている時は、その人からキツイ言葉を投げつけられても同じ土俵に入らずに黙ること。言葉は出してしまうと取り消しがききません。私がそういう状態の時、たいてい夫は黙っています。私は夫のこの美点もまねたいものだと思っています。