そして、いま私に与えられている仕事や、難病の長男との生活を心新たに、心を込めてやっていこうと思っています。いままでも、それなりにやって来たとは思いますが、やはり、二人の病人を抱えているということは、いつも落ち着くということがなく、いつも何かあれこれ考えて走りまわっていたような気がします。でも、夫が旅立ったいま、私は夫に感謝して、残りの時間を心新たに心を込めて過ごそうと思うのです。
難病の長男は、口に出すことはありませんでしたが、やはり、義理の父親である夫の様子を見ながら、私に無理を言えないと思っていたようです。いま、それを思うと不憫な気もしますが、数年前のことですが、夫がまだかなり元気だった時に、長男の様子を見ていて、感に堪えないように、「彼は聖人だからなあ」と言ったことがあったのです。それは、本当に有り難い言葉でした。いまはその言葉を大切にして、長男と生きていこうと思っています。そして、いつか長男にあの夫の言葉を伝えてやりたいと思っています。