このアグリッパこそ、聖書の使徒言行録の中で、パウロがカイサリアで対面することになるアグリッパ王です。パウロは捕らえられ、王の前に引き出されます。そこでパウロは弁明することになるのですが、彼はまず自分自身の回心について語り、その貴重な体験に基づいた宣教の内容を語ります。その後、パウロはアグリッパ王に信仰を勧めるのです。聖書では王達の反応について次の様に記述しています。
"彼らは退場してから「あの男は、死刑や投獄に当たるようなことは何もしていない。」と話し合った。アグリッパ王はフェストゥスに、「あの男は皇帝に上訴さえしていなければ、釈放してもらえただろうに。」と言った。"(26・31〜32)
パウロが心を新たにした体験は、少なからずその場に居た人々の心を、動かしたに違いありません。
"それは彼らの目を開いて闇から光に、サタンの支配から神に立ち帰らせ"(26・18)とのパウロの言葉に、王の心は波立ったことでしょう。悲しいような表情に見えることさえある像を前に、心を新たにしたパウロの宣教について、改めて思い巡らせました。