自身の制作は指導レベルの向上のためのトレーニングでしたし、アトリエでは色々な個性の人々との出会いから、若い私にとって学ぶことの方が多いと、感謝をもって日々を過ごしていたからです。
10年余りの歳月が過ぎ、私の絵のモティーフが日本のキリシタンの歴史になり、信仰や愛、平和などのテーマで表現するようになると、個展でのお客様の声は「貴重なお仕事」になり、団体展出品の時もいきなり肩書きがついて、近頃では画伯と紹介されて恐縮してしまいます。
今年はアトリエ開設45周年、また、自身の本格的な画業の40年にあたり、開催した第48回個展では「高山右近の生涯」をとりあげました。
仕事とは職業であり、働く務めの中から、成果が生み出されるものです。好きなことに打ち込む趣味とはまるで違います。困難も多いのですが、使命感をもって取り組むと、やがて達成感と共に感謝と喜びが、わき上がってきます。単純に美しいと感じた風景や、花を楽しんで描くというゆとりの時間はなかなか持てませんが、まだまだ描いて生き返らせたい殉教者が待っている以上、私の仕事は続きます。