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仕事と私

阿南 孝也

今日の心の糧イメージ

 大学の工学部に入学した私は、将来は研究者になろうと考えていました。月曜日から土曜日まで大学で勉強し、日曜日は教会でミサに与り、小学生の教会学校や中高生会のお世話をするという生活でした。小学生のクリスマス会やキャンプファイヤー、中高生との富士登山は楽しい思い出です。このような毎日を送っているうちに、子どもと接する仕事をしたいという思いが、次第に強くなっていきました。そして大学を卒業してから教員免許を取って、ようやく教師になることができました。

 仕事のことを英語でコーリングとも言いますが、これは呼ぶという意味の言葉です。神様に呼ばれたと言うとおこがましいのですが、私にとって教師は、生活費を得る手段を超えて、生き甲斐であり、生涯をかける値打ちのあるものなのです。

 可愛い中学一年生にあいさつの大切さを教え、よい習慣を身につけるよう導くことは学校の大切な役目です。授業やクラブ活動、文化祭やクリスマス行事などを通して、乾いた砂が水を吸収するように、子どもたちは様々なことを身につけて成長していきます。その場にいることが許される喜びを感じずにはいられません。

 カトリック学校に勤務しているお陰で、信仰を見つめ直す機会もいただくことができます。生徒たちと一緒に日雇労働者の街へ米を届けに行ったこと、ハンセン病の療養所に出かけたこと、イスラム教のモスクで礼拝し、聖職者から話しを伺ったことなどは、すべて生徒たちとの話し合いの中から生まれたものでした。引率という形で私も参加させていただき、心の目が開かれ、多くの気づきをいただくことができました。

 これからも生徒たちと共に成長できるように、与えられた役割を喜びのうちに果たしていきたいと思っています。