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仕事と私

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

 「仕事」とは"しなくてはならないこと"と辞書にあります。

 昨年、喜寿を迎えた私は、自分の半生を振り返って自問しました。私の仕事って何?

 父母を早く失った私は、両親のいる普通の家庭を持ちたくて、短大卒業後、すぐに結婚。四人の子どもの母となり、家事、育児に没頭しました。

 夫の仕事の関係で一家で1年アメリカで暮らした生活体験記が縁で「素人主婦ニュースキャスター」として引っ張り出され、レポーターやインタビュアーも含めて7年余りテレビの仕事をしましたが、私の立場は主婦でした。

 主婦の仕事は、社会基盤の家庭を支える重要なものですが、職業的、経済的には評価されず、きりがありません。しかし、夫や子供たちの元気な活躍や成長が私の喜びであり、誇りでした。

 長女と長男が結婚して孫も生まれ、ほっとした矢先、夫が癌で斃れ、私は未亡人となりました。次男、三男も巣立ち、一人で生きる術が分からず、途方にくれました。

 アメリカ留学中の長女夫婦に誘われて渡米。そこで迎えた「還暦」の「人生は60歳から」という「東洋の智慧」に励まされてアメリカ留学を決意。英語学校から大学、大学院と7年半の留学生活で、私は「個」として自立し、自由に生きる喜びと厳しさを学び、鍛えられました。帰国後出版したアメリカ留学体験記が縁で、今、いろんな所でお話をしています。

 30年余り続けているラジオ「心のともしび」の原稿書きも、私の大切な仕事です。本当の幸せは当たり前の日常の中に隠れていることに気付かされるからです。

 人生のどの段階でも、その時"なすべきこと"を精一杯していると、豊かな人生が拓かれるのを今も体験しています。いつも共に居て、助け導いてくださる神様に感謝です。