幼いわが子に何かせがまれ、母親が「ママ、今、お仕事!」というと、わが子は、事情を理解したのか、不思議と一目置きます。大人の世界で「あなたのお仕事は?」と聞かれると、だれもが自分の社会的責任を感じてか、神妙に自分の職業について答えます。
自分の仕事とは何か。それは、実際、考えてみると、非常に難しい問題です。ある人生目標を目指して、その実現のための、仮の仕事に精を出している人も少なくありません。職業の選択は、その時の社会・経済情勢に大きく支配されます。このため、"思うて、ならず、思わずしてなる"ということが、しばしばです。そして、親の強い願いもあって、自分の本来の望みを切り替え「家業を受け継ぐ」というケースも少なくありません。こういうことがあってこそ、伝統が保たれ、伝統が生かされるということになります。実業界のみならず、二代目、三代目という存在が、他の世界でもみられますが、その継承存続は、容易ではありません。私自身、父親は、無冠の帝王、新聞記者、図らずもサラリーマン家業を伝承、いつの間にか、私も同じ道を歩み、今日に至っていますが、これは、神からの呼びかけ、"VOCATION"、 天から与えられた使命だと受け止め、その使命達成に人生の意義を感じております。