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私とロザリオ

小林 陽子

今日の心の糧イメージ

 ロザリオ。それは祈りの花束です。わたしのだいじな人たちのために、イエスさまマリアさまにお捧げする花束。ひとつひとつのロザリオの珠は、一枚一枚の花びら。香っています、マリアさまのにおい。きよらかでやさしい、そよ風のような。

ロザリオ。それはどんなときにもわたしといっしょ。ポケットのなかに、バッグのなかに、電車のなかでも、バスに乗っているときにも、そっと握りしめながら、窓からは家々や木や高層ビルがすばやく通り過ぎ、口の中でつぶやくお祈りのことばも通り過ぎる。音楽のように。

 あるときは朝、学校にゆく途中。おかあさんとケンカして、とてもお祈りするきぶんではなかったのだけれど、歩きながらいつもの習慣で唱えていた。ふと気がつくとなんだか気持ちがよくなっている・・おかあさんにごめんなさいを言おう、あやまらなくては・・なぜかすなおになれて。不思議なふしぎなロザリオのおめぐみ。

 洗礼のときのお祝いの贈り物。ピンク色の透明なガラスの珠。

 シスターの手作りの木の珠、巡礼のお土産の薔薇のロザリオ、いつのまにかロザリオの箱の中は色とりどりのロザリオでいっぱいになっている、わたしの宝箱。

 このあいだは、「ステキなロザリオ、これちょうだい」と娘が一つ持っていった。「ちゃんとお祈りするのよ」と言ったけれど・・。

 なにも知らないでアクセサリー替わりに首にかけている高校生の女の子もいる。でも、教会の売店で説明をきいていたから、きっとマリアさまがとりなしてくださるでしょう。

 毎日のように歩く山道で出会う木たち。「マリアさまの木」「イエスさまの木」「聖フランシスコの木」、名前をつけて木の下でお祈りをします。わたしのとっておきの「山のロザリオ」です。