あの夜、私がただ一人で臨終のシスターに付き添っていたあの夜のことを、私は生涯忘れることはできないでしょう。目を閉じてひと息、ひと息をやっと繰り返している苦しみを...
あの夜、私がただ一人で臨終のシスターに付き添っていたあの夜のことを、私は生涯忘れることはできないでしょう。目を閉じてひと息、ひと息をやっと繰り返している苦しみを...
ある晩秋の夕暮れ、友人に伴われて教会を訪れ、聖堂の重い扉を開けると、中はステンドグラスの窓からこぼれ落ちる七色の光。中央の奥、祭壇に置かれた十字架の静けさ。ふと...
福音書には、イエス・キリストが「ガリラヤ中を回って諸会堂で教え、み国の福音を宣べ伝え、また、民衆のありとあらゆる病気を癒された」(マタイ4・23)ことが記されて...
新年を迎えるたびに思い出されるのは、元旦の我が家の情景です。きょうだいが揃って父の前に正座し、一礼すると、長男から順に新年の挨拶を述べるのでした。頷きながらこれ...
福音記者聖ヨハネは福音書の冒頭に、荘重な書き出しで、全人類の救い主イエス・キリストはどのような方であるか、を記しています。「初めにみことばがあった。みことばは神...
学生時代に、また社会生活の中で、よい先輩に恵まれたありがたさを忘れがたく思い出します。教師とも違う、同期生とも違う、友人のような親しさを覚えながら何でも打ち明け...
新約聖書の「使徒言行録」二章に、初代教会のキリスト信徒の共同体について語る一文があります。「信者たちは皆一つになって、すべての物を共有にし、財産や持ち物を売り、...
記憶に蘇る思い出の糸をたぐり寄せると、幼い頃から現在にいたるまでの数々が、まるで一枚の織物のように見えてきます。忘れえぬ今は亡きカナダ人のルイーズが私に残した...
幼い頃、早春のある晴れた朝、庭先で私の名を呼ぶ父の声を聞きました。急いで出てみると、父は地面にかがみこんで私を招いています。「ほうら、見てごらん。水仙が芽をだ...
私が属する共同体に、来日66年を迎えた今年、天国に旅立ったカナダ人のシスターがおりました。 名をジャンヌ・ボッセと言い、30歳で日本に派遣され、日本をこよなく...