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心新たに

シスター 菊地 多嘉子

今日の心の糧イメージ

新年を迎えるたびに思い出されるのは、元旦の我が家の情景です。きょうだいが揃って父の前に正座し、一礼すると、長男から順に新年の挨拶を述べるのでした。頷きながらこれに応える父の姿にも、いつもとは違った厳粛さと優しさが感じられ、子供心にも感じる、「何か」がありました。毎年、元日の朝に繰り返される家族のささやかな行事が、私に新しい年を迎える心構えを培った、と言っても過言ではありません。

修道会の一員になってからは、毎年大晦日の夜、会員一同と共に聖堂に集まり、過ぎ行く一年に頂いた恵みを感謝し、至らなかったことのゆるしを願い、新しい年の上に、神の祝福を願い求める祈りの時を持つようになりました。使徒パウロの勧めのように、「これまでの生き方に従ってきた古い人をかなぐり捨て、精神も霊も新たにされて、神にかたどって造られた、まことの正しさと崇高さをそなえた『新しい人』を身にまとう」ためです。(エフェソ4・22~24)

パウロはまた、「新しい人」となる具体的な勧めを示すことも忘れませんでした。「神に選ばれた者、聖なる者、愛されている者として、思いやりの心、親切、へりくだり、やさしさ、がまん強さを身にまといなさい。互いに耐え忍び、だれかに不満があったとしても、互いに心からゆるし合いなさい。主があなたがたを心からゆるしてくださったように、あなたがたもそうしなさい。これらすべてのことの上に愛をまといなさい。キリストの平和にあなたがたの心を支配させなさい。」「そうして、感謝の人となりなさい。」と。(参・コロサイ3・12~15)

この勧めを実行に移すには、ただ神様ご自身に頼るほかはありません。人間の努力の限界を超える神様の慈しみが、私たちを「新しい人」に変えてくださいます。