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根っこ

シスター 萩原 久美子

今日の心の糧イメージ

 私が住んでいる修道院の小さな庭には、様々な野菜やお花が植えてあります。丁寧に育てられた季節の野菜は食卓を彩り、きれいな花々は修道院のチャペルや玄関を美しく飾ってくれています。
 そして、季節が終わり、枯れた草花を取り除くとき、地中深くに根を張っている根っこの存在に気づくのです。たとえ草木は枯れていても、根っこはまだ生き生きとしているのです。

 様々な困難や悩みに遭遇し、〝もう、ダメだ〟と弱音を吐きながら、でも心のどこかから〝まだ、大丈夫〟という声を聴くことがあります。自分の心の奥底にある、細く、でもしっかりと根を張った揺るがない根っこが、どこかから力を運んでくれるのでしょう。

 人にはそれぞれ、目に見えないけれど頑張っていることや、人知れず捧げていることがあるのだろうと思います。

 それは、物事をポジティブに考えることや、たとえ嫌な言葉を投げかけられても優しいことばで返すこと、あるいは、神様に信頼して前を向いて歩む姿勢であるかもしれません。そうした、自分が大切にしている生き方が、思いがけない状況に遭遇したときに、力を与えてくれるのでしょう。

 根っこは、どっしりと土の中で根を延ばし、野菜や花を支えています。早く大きくなりたい、早く実をつけようと焦って、栄養分や水分を取りすぎると、かえって栄養過多になり、根腐れを起こすこともあります。

 じわじわとゆっくり吸収するからこそ、豊かな実りも生まれてきます。すぐに芽を出しても根がないために枯れてしまわないように、しっかりと根を張りながら30倍、60倍、100倍の実を結ぶことができるように、日々を丁寧に過ごしていきたいものだと思います。(参 マタイ13・1~9)