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根っこ

こいずみ ゆり

今日の心の糧イメージ

 わたしには親しくしていただいているシスターたちがいます。彼女たちは広い敷地でほぼ自給自足の生活をしながら、聖母マリアのように全世界を心に抱き、もっぱら祈る使命を生きておられます。

 畑では肥料も牛糞や馬糞、鶏糞といった有機肥料を使い、完全無農薬で野菜や果物を育てておられます。またお米の研ぎ汁を下水に流さないなど、水や土を大切に生活されています。シスターたちはこうした実践に合わせて、何十年も前から環境問題についても学んでおられました。

 その目覚めた意識はどこから生まれてくるのでしょうか。
 わたしには、その源泉が〝真実の深い祈り〟にあると感じています。社会で生きる多くの人が見過ごしがちな神さまの想いや望みを、深い祈りの中で聴き取り、それに応えることの大切さをシスター方の生き様から教えられます。

 実は古くから続くこの修道会にも、中世には大きな危機がありました。
 当時、ヨーロッパ全土では戦乱と伝染病により、社会や教会が大混乱に陥っていました。この修道会も例外ではありませんでした。
 そのような状況から脱却するために、ひとりの偉大な聖女・アビラのテレサが改革者として立ち上がったのです。

 情熱溢れる聖テレサは、13世紀初頭に認可された最初の会則に立ち返りました。その結果、祈りの生活を深めることができるように環境を整えて、修道会は生まれ変わることができたのです。

 わたしたちも社会や自身の混乱に向き合う時、まずは物事の根っこに立ち返ることが大切なのではないでしょうか。

 神さまがどのような想いで人間とこの自然界を造られ、わたしたちにそれを委ねてくださっているか、心の耳を澄まし、その思いに応えることが大切だと感じています。