

学校では春に教員の集合写真を撮ります。
ある年、ひな壇の教員の位置がなかなか決まらず、カメラマンが何度も何度もやり直しをしました。みんなヘトヘトになり、言葉にはしませんでしたが、重い雰囲気が流れました。
そのとき、一人の先生に「もう少し上の壇に上がってください」とさらに指示が出ました。先生が一段上がると「もう少し上に」と言います。ついに一番上の壇に移動したのでこれで決まるだろう、と思ったのですが、今度は一段、また一段下がるように言います。私はギョッとして「先生が怒り出すのではないか」と心配になりました。
結局、元の場所に収まって写真を撮り終えました。
私は内心彼女を尊敬しました。なんて立派な人だろう。私なら耐えられない。きっと怒ってしまうだろう、と。そう言ってほめると、忍耐したとか、謙遜に従ったとか、そういうことではありませんでした。先生は、実に淡々としており、何も気になっていなかったのです。
人はなんと違うのだろうと心底びっくりしました。
このことが何年たっても忘れられません。同じ状況にいても、自分が見ている世界と他の人が見ている世界、自分の感じていることと他の人が感じていることはまるで違うのです。
人は、体力も、育った環境も、考え方も違います。私たちは、他の人の行動を正確に判断するのはとても難しく、わからなくてあたり前なのではないかと思いました。
人間関係でズレが生じたら確認しあうことが大切だと思います。
私はこう感じてこのように行動したんですが、あなたはどう思ったのですか?と、何も決めつけずに確かめあうとよい関係をつくっていけるのではないでしょうか。