

インカルチュレーションという言葉をご存じでしょうか。
これはカトリック神学の用語で、日本語では、「福音の文化内開花」と訳されています。
これは、イエスの教えである「良き知らせ」、すなわち「福音」が、様々な文化と出会い、その文化を否定するのではなく、その文化の中で花開き、豊かにして行くという考えを表しています。
カトリック教会の二千年の歩みは、多様な文化との出会いの歴史であったと言えるでしょう。
イエス自身はユダヤ人でした。そして、最初の主な弟子たちもユダヤ人でした。しかし、彼らはイエスの命令に従って、全世界に福音を広めていきました。
多様な文化との出会い、そして、対話は、福音宣教のあるべき姿となりました。その後の教会の発展は、すべて、福音が多様な文化の中で花開いて行く営みなのです。
この営みは、今も続いています。
この翻訳の営みもまた、福音の文化内開花、すなわちインカルチュレーションの一つの具体的な姿であるといえるでしょう。そのおかげでわたしたちは、自分の言葉でイエスの教えを理解し、また、自分の言葉でそれを人々に伝えることができるのです。
イエスの教えである福音は、あらゆる時代の、あらゆる文化の人々のためのものです。イエスの福音が、益々ゆたかに花開いていくように、わたしたちキリスト者も働くことができます。
多様な価値観を生きる人々と出会う時、わたしたちの率直な言葉によって福音を宣べ伝えるなら、それは、現代のインカルチュレーションと言えるでしょう。