

幼い頃に読んだ児童書の中に、今でも深く心に残る一冊がある。
帥崇義(シュアイ・チョン・イー)著作の「斷翅的天使」(ドゥアン・チー・デ・ティエン・シー)だ。
日本語訳はなく、直訳すると「翼の折れた天使」。
すでに絶版の一冊である。
話は、一人の少年が偶然天から落ちた羽の折れた小さな天使と出会い、友達となったところから始まる。飛べなくなった天使を何とか天に戻そうと、少年はあれこれと試してみたが、どれも失敗に終わる。
ある日、少年は海で見た光景を思い出し、ひらめいた。
「そうだ!海のはるか彼方は、空とぴったりくっついているじゃないか!つなぎ目のところまで行けば、きっと天に帰れるぞ」
少年はおもちゃの船を作って、小さな友人を名残惜しく海に送り出した。
ところが、数日後、天使が再び少年のもとに舞い戻り、「海と空は繋がってなんかいないよ。いくら進んでも天に帰る道なんて見当たらなかった」と、すっかり気落ちした様子であった。
この物語は、最終的に天使が無事に天に戻って、ハッピーエンドで終わるが、私は結末よりも少年の数々の奇想天外な発想に魅せられた。
そして、天と地を繋げる「道」は果たしてあるのかと時々考えるようになった。
大人になってから、ふとしたきっかけで、この児童書の作者が敬虔なカトリック信者であることを知った。神や信仰などについて一言も触れないが、しっかりした「ストーリーの軸」で幼い読者の心を鷲掴みにする。その「軸」とは「天に帰るための道探し」であり、それは人間にとって永遠のテーマなのかも知れない。
聖書では、イエスがご自分について啓示された。
「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければだれも父のもとに行くことができない」(ヨハネ14・6)
私もこの「真の道」を通って、天上のふるさとにたどり着きたい。