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心おだやかに

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

 イエス・キリストの教えでびっくりさせられるのは「敵を愛し、迫害する人のために祈りなさい」という言葉です。(マタイ5・44)

 聖書でいう「愛」は、「好き」ということではなく、「大切にする」ことです。たとえ嫌いでもいいからその人を大切になんて、イエスさまは寛大だな、と感心します。水色が好きな人に、嫌いになりなさいと言っても無理ですし、赤が好きではない人に、努力して好きになりなさいと言っても仕方がありません。人の好き嫌いもある程度はそういうものでしょう。

 ここでいう「敵」は、たとえば私の用事を妨害する人、面倒な人だと仮定します。そういう人を大切にすることは難しいです。私たちはいつも自分の満足を求めているので、苦手な人に親切にしても喜びにならないと思うからです。

 では、どうやってこれを克服すればいいのでしょうか。実体験から答えるなら、とにもかくにもやってみると、不思議な平和が生まれる、と言えます。

 苦手な人を避けて別の道を通るのは一見、心地よい気がしますが、そうするとなぜか暗く沈んだ気分になります。反対に、自分からその人に近づいて挨拶すると心のどこかが落ち着くのです。

 他の例を挙げると、たとえば私はお料理が苦手なので毎朝のお弁当作りは楽しくはなく、心地よさも喜びもありません。でも、できあがると不思議な平和が心を満たすのです。もし作らなければ、夫は食品添加物の入った物を買うでしょう。お弁当でひとまず栄養のバランスがとれる、そう思うとやっと嬉しくなります。

 イエスの教えはどれも「平和」をもたらします。

 人と戦わず、自分の心と戦う。それによって穏やかな心が生まれる。「神の知恵」です。