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忘れられない人

シスター 山本 ふみり

今日の心の糧イメージ

 自分の人生に衝撃を与え、ターニングポイントとなった、忘れることのできない人が皆様にもおられることでしょう。

 私の忘れられない人、それは私に「祈り」を教えてくれた神父様です。それまで何の疑いもなく、祈りとはこういうものだと信じていたのですから、その教えは衝撃的なものでした。

 ある黙想会での指導神父様が、「本当に祈ることができている人は、この中でもわずかでしょう。ほとんどの方は祈れていないと思います。」と断言されました。私はびっくりして、半分腹立たしさと悔しさもあいまってボールペンの芯を入れたり出したりしてパチパチ音を鳴らしていました。すると神父様は「ボールペンをパチパチ鳴らしているけれど、君は大丈夫かい?」と直接問いかけてきたのです。私は反逆心を覚えて自分を正当化するため、どうして神様でもないのにそんなことが言えるのか?私の祈りが間違っているなんて嘘でしょう。などなどいろんな思いがこみ上げてきて、唯々ショックでした。

 それから少しずつ祈りの手ほどきを直接いただき、私の姿を素直に見つめ、唯一神様のお望みを知ることができるように努力しているところです。私の祈りはまだまだですが、こんなに熱心に私と向き合って下さり「祈り」を必死に教えて下さったのは、後にも先にもこの神父様だけでした。私には忘れようとしても忘れられない人なのです。

 修道者にとって「祈り」は要石(かなめいし)ですし、支えです。拠り所でもあり、神様からのメッセージをいただける時間と空間でもあります。
 誰かに何かを伝えることが出来たら、それはこの世に生まれた者としての役割を果たしたことになるのではないでしょうか。

 私も必死に何かを伝えきれる人になれますように。