

「兄弟姉妹の皆さん、こんばんは」。
2013年3月13日、フランシスコ教皇様が、ヴァチカン広場に集まった多くの人々を前に発した第一声でした。
ちょうどその頃、ローマで勉強の機会をいただいていた私は、友人たちとともに、新教皇様の誕生を一目見ようと出かけ、運よくフランシスコ教皇様の第一声を聴くことができました。
一緒にいた友人達と
「なんだか復活の朝のイエス様の挨拶みたいね」
「墓を見に行った婦人達にイエス様の方から語られたようにね」
と盛り上がったのを覚えています。
フランシスコ教皇様が選出されたのは夕方。小雨降る天気だったにもかかわらず、ヴァチカン広場には夜遅くまで多くの人々の歓喜で満ち溢れ、その光景とともに教皇様の声の響きは今も私の耳に残っています。
イタリア語に悪戦苦闘していた当時の私の語学力でも理解できる平易なイタリア語で語りかけられ、それだけに親しみを覚えていたことを懐かしく思い出します。
教皇様の親しみを込めたあいさつの一言。弱い人、特に社会の片隅に追いやられた人々や病気の方々に寄り添い、どんな人にも分け隔てなく自分の方から駆け寄り、「こんにちは」と話しかけていく。その姿にイエス様の姿を思い浮かべたのは私だけではなかったと思います。
来日された際には、長崎でのミサ準備室の手伝いをすることとなり、ローマでは実現できなかった握手をしていただいたときは感動でした。
フランシスコ教皇様の明るく弾んだ声と温かく柔らかな手。教皇様からの大切な贈り物を大事に、私も教皇様の生き方に少しでも倣うことができればと思います。