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私の拠り所

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

 先日、一人の50代の男性から電話が来ました。「〇〇です。」

 「あっ! 〇〇君?」「そうです覚えていてくれましたか?」「もちろん!」そんな話が10分ぐらい続き、「お母さんは元気?」と聞いた時、少し間を置きながら「母は先日亡くなりました」と、電話をしてきた理由を初めて話し始めたのでした。

 彼とは、彼が小学生の時から関わってきたのですが、高校生の時に、亡くなったと思っていた父親が実は母との離婚で離れたこと、今でも生きていることを知ってから、感情のコントロールがきかなくなり、家庭内暴力を起こすようになってしまったのです。

 わたしも時々、お母さんの相談に乗るために家を訪れていたのですが、なんとか落ち着いたのと、わたしの転勤があったことで、お母さんとの年に何回かの手紙のやりとりだけになっていました。

 実際彼の声を聞くのは30年ぶりでした。そして、淋しくなったらまた電話をして来いよと慰め、電話を切ったのでした。

 こういった長い期間手紙だけの関わりを持っていたことを振り返る時、「わたしの人との付き合い方が見えてくるなあ」と改めて感じます。

 わたしの付き合い方は、深く短くではなく、浅く長い付き合い方です。他にも手紙のやりとりが30年を超える方が結構あります。途中で会うこともなく、手紙だけのやりとりが続くのです。

 これは人の愛し方にも反映しています。人を愛する時、深く親しみのある関わりを周りの人は求めています。でもわたしは、何事もない状況が長く続く愛し方を信じて、平然としているのです。

 ある時からこの関わり方が、わたしの愛し方だと、思うようになってきたのです。きっとこんな長~い視点の関わり方を求める人もいると、深く確信しながら。