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希望のしるし

シスター 谷口 恵美

今日の心の糧イメージ

 「主において常に喜びなさい。・・・主はすぐ近くにおられます。どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。」(フィリピ4・4、6~7)

 なんと希望に満ちた力強い言葉でしょう。この言葉は、パウロの平安無事な生活の中でではなく、投獄された中での手紙の一節であるということに驚いてしまいます。パウロは獄中であっても主に希望を置き、喜びに満ちたこの手紙を書いたと言われています。もしかすると、苦しみの中にあったからこそ、その体験の中から出てきた希望の言葉だったかもしれません。

 戦争による人災での、赤ちゃんが凍死した、餓死したとのニュースに悲しくなる時が度々あります。自分が母親の立場であったら、どれほどの悲しみかと、心がえぐられるようです。私は、戦後に日本という国にたまたま生まれ、戦争による悲惨な体験はありません。でも、もしかすると、現在のパレスチナや、ウクライナに生まれる、ということがあったかもしれません。そう考えると、全く他人事には思えません。

 パウロの「主はすぐ近くにおられます」との言葉は、戦禍に苦しみ悩むすべての人々の心に強く響いてくるのではないでしょうか。十字架にかけられたイエス様は、苦しむ人々と共におられます。そして、一人ひとりへの愛のために苦しみ抜かれました。でもそれで終わりではありません。

 人知を遥かに超えてくるイエス様の愛は私たちにとって希望のしるし。復活の光のうちに、再び私たちに喜びの命を与えてくださるのです。