▲をクリックすると音声で聞こえます。

受けとめる

堀 妙子

今日の心の糧イメージ

 『聖書』は私にとって、この世の闇に閉ざされた日々を歩む同伴者です。苦しみがあるときも、ミサに与り、傷口にみ言葉を、軟膏のように塗ってきました。

 イエスさまが公生活に入られ、弟子たちや人々に話される譬え話で、自分自身の愚かさからくる心の波立ちを収めることも度々です。

 『新約聖書』では、私は「ヨハネの黙示録」に特に心惹かれます。

 これは最後の晩餐の時にイエスさまの胸に寄りかかっていた弟子、十字架上のイエスのもとにマリアさまと共に立っていて、後にマリアさまを引きとった、使徒ヨハネによって書かれたからです。

 「ヨハネの黙示録」は、彼がパトモス島に幽閉されている時に、イエスさまが天使に伝えた言葉を書き記したものであると、その序文に書かれています。

 パトモス島幽閉時、ヨハネ自身の心境はどのようなものだったでしょうか。

 分裂や異端などを繰り返す教会、キリスト者という子羊はあっという間に散り散りに逃げ去ったり、集まったり、そんな状況をヨハネは受け止めるのがやっとというところではないでしょうか。

 ヨハネが未来永劫、師と仰ぐイエスさまと出会った愛に燃える日々は夢・幻のごとく過ぎ去りました。そんな使徒ヨハネだからこそ、イエスご自身の声が響く天使たちからのメッセージを、書き記すことができたのでしょう。

 「わたしはすぐに来る」(参ヨハネの黙示録22・20)。

 ヨハネが記した、イエスさまの最後の言葉です。

 今の地球上は戦乱の地、魂を悪に売った人々で一杯です。イエスさまの愛から遠く離れています。

 私たちはヨハネのように「主イエスの恵みが、すべての者と共にあるように」(同22・21)と祈ります。そして、いつも、ともしびの油を用意して、イエスの到来を待っています。