真の強さ

堀 妙子

　あるアメリカ人司祭は、幼い頃から楽しい家庭を持つことが夢でした。１０人の子供たちと２匹の犬を飼って...と将来を思い描いていたそうです。ところが１８歳の時、車を運転している途中、突然、神さまに呼ばれるのを感じたそうです。以後、度々お祈りをしていると、羊飼いの姿が浮かび、やがて神学校に入り、司祭になったそうです。この話の後で「神さまは、すべての人に、その人が母親の胎内に宿るはるか前に、その人のニックネームをつけているのです」と話してくださいました。

　自分のニックネームの探し方は、聖書を開き、心に惹かれる箇所があればノートに書き出し、黙想します。私は自分のニックネームを知るまで祈り続けました。

　すると、「ヨハネによる福音書」の冒頭に「初めに言があった」と、「詩編」１３７の「バビロンの流れのほとりに座り、シオンを思ってわたしたちは泣いた。竪琴は、ほとりの柳の木に掛けた」という箇所に惹かれ「言（ことば）の竪琴」が私のニックネームだと思いました。

　私のニックネームを知り、「あの時ああすれば、よかった...」と自分が歩んできた人生を後悔しなくなり、真の強さが私に生まれたと思います。それまで、苦しいこと、やっかいな人間関係から逃げようとしていましたが、とても心が軽くなりました。

　すべての人に神さまが望まれたニックネームがあることを知り、いつも絡まってしまう糸が、スルスルとほどけるようになったのです。

　神さまはその人らしい使命を生きてほしいと願っていると知った時、私はとても自由になりました。

　自分のニックネームを知ると、真の強さに目覚め、互いを生かし合い、わかり合えるからではないでしょうか。