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真の強さ

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 真の強さには、大きく二つあると私は思っています。

 一つは「とにかく突き進んで道を開く」という側面。これは説明するまでもないでしょう。

 もう一つは「粛々と働きながら待つことができる」という強さです。私自身は、こちらでずいぶん鍛えられたと感じています。何かに取り組んでいて自分の力がなかなか伸びてこないとき、大丈夫と思って勝負に出たら想定外の展開になって悔しい思いをしたとき、正面切ってぶつかるよりも「北風と太陽」の物語のように、相手が変わったり理解してくれたりするのを待っているとき・・・。留まる瞬間は苦しいけれど、次の機会を待つ覚悟をすることで、私の心は深まります。

 待つことにはしばしば、全力で戦うより激しい消耗が伴います。誰も見ていなくても働き続けなければならず、報われる保障もないのに努力は止められない。

 けれど、実は待っているのは私だけではないと気付くと、フワッと気持ちが軽くなることがあります。私を見守ってくださっている神様もまた、待っておられるのではないか。このゆっくりした歩みに合わせて進みながら、「ここまできたか」と静かに見ておられる。ときにはそっと力や知恵を授けながらも、無理に押したり引いたりせず、忍耐強く付き合ってくださっている。でも本当に?

 長くて出口がなさそうに思えた道にある日突然光が点り、「いまだ」と思うことがあります。そんな経験を何度もするうちに、きっとそれは本当なのだろうと思うようになりました。気付いたら、神様の視線を信じて心を汚さず、衝動に踊らず、「待とう」と決める選択肢が人生に加わっていました。私は、この選択肢によって強められている気がしているのです。