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真の強さ

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

 子どものときから、体も弱く、引っ込み思案で意志も弱かった私は、どうしたら強くなれるだろうかといつも悩んでいました。

 小学校3年生の頃、遠くの専門学校に入学していた姉が、カトリックの学校ということで、そこのシスターたちの影響で信者になって、冬休みのときに家に帰ってきました。その姉が私に、神さまがいらっしゃること、お祈りして良い子になれば、何でも聴き入れてくださるよ、と口癖のように語ってくれました。その言葉を素直に信じた私は、強くなりたい一心で、一生懸命祈りました。

 そのせいかどうかは分かりませんが、鉄棒の逆上がりができるようになったり、駆けっこが速くなったりして、少し自信が持てるようになりました。その頃、学校でいじめにあっていましたが、それもお祈りしているうちに、不思議と無くなりました。

 そういうことがいくつか重なっているうちに、次第に、自分のことを信じて神さまに祈っていれば、強くなれるんだ、その強さが周りにも伝わるんだということが分かりました。

 そうしたら、学校へ行くのもこわくなくなりました。それまで、学校だけでなくどこかへ外出する時にいつも抱いていた不安も、無くなりました。

 つまり、わたしの強さは、聖書にあるパウロの言葉どおりでした。

 それは、悲惨のどん底にあって、神に祈った聖パウロの内なる声です。

ーー すると主は「わたし神の恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ。」と言われました。だから、キリストの力がわたしの内に宿るように、むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう。・・・わたしは弱い時にこそ強いからです。」ーーと記しています。(Ⅱコリント12・9~10)わたしたちも同じです。