大学を卒業する4年生のために、静かに修めると書く「静修会」が開かれ、あるシスターのお話を伺いました。
シスターは、共同体での修道生活を通して学ばれたことについて、具体的なお話をされ、瞬く間に時が過ぎました。
それは、40年以上も前、シスターが最後の修練を終えるためにスペインに派遣されたときのことでした。
行ってみると、人々は容赦なく矢継ぎ早に言葉を投げかけてきます。理解ができず、孤独で苦しく、もう限界。
そこで一日授業を休んで街に出てみることにしたそうです。小さな美しい街です。
一人でバスに乗ってみました。降りる時、小銭を運賃箱に入れようとすると、修道服姿に気づいたドライバーは急に投入口を手でふさぎ、払わなくていいよ」と言います。どうして、と戸惑っていると、「ケ・グアパ!」と答えてきます。「グアピッシマ」、「たいへん美しい」と言うのです。
なにか暖かいものも感じはしたのですが、初対面の人に「美しい」と声掛けするなんて、なんて変わった人だと思ったそうです。
ところが、なにが起こったか自分でもわかりませんが、美しい街で日がな一日過ごすと、心がにわかに晴れてゆったりした気もちがわいてきたそうです。しかもそれ以降、苦労したスペイン語も耳から急に入り始めて、どんどんわかるようになってきたと。
ときに生活に風を送り込むことは大切です。
神さまは人との関わり、日々の出来事を通して語りかけてくれます。
直接言葉をかけるかわりに、日常の生活や人との関わりのなかで何かメッセージを送って、ご自分の姿を顕してくださいます。
私がこのお話を聞けたのも、シスターを大事に思ってくださった運転手さんのおかげです。ムチャス・グラシアス!