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大きな壁

林 尚志 神父

今日の心の糧イメージ

 最近「違い」は「間違い」ではないと、自分に言い聞かせる事が多くなりました。

 この人の言うこと違うな、間違っているのでは?と、自分と違う時に簡単に間違いだと決め付けそうになります。

 特に街中に外国人観光客が増えた昨今、その中の特に若者の行動などで、色々自分との違いが気になります。

 日本人の若者でも違います。何よりもスマホを巡っての様々な違いを世代の違いだと、何処か否定的・批判的になり、今の若者は・・という決まり文句に成ってしまいます。いつもスマホに目をやって、耳には黒や白のイヤホンが目につきます。

 高齢の自分はその姿を見て、将来彼らの目や耳が悪く成り、不便するのではないかと心配します。

 自分の若い時も、先輩達に色々心配を掛けたのでしょう。この違いが時々世代間の壁に成ります。

 言っても聞かないし、自分で気付く迄仕方ないさと諦めムードが支配して淋しくなります。心のどこかで世代間の違いを「間違い」と決め付けているのかも知れません。違いの壁が大きく成り越えられないかの様です。

 立ち止まって、どこがどの様にどうして違うのか、ゆっくり見て判断したいです。出来るならば、相手に訊いて見る事が大切ですね。聞くことで壁を通す穴が開く様です。今迄なかったチャンネルが、通じ合う回線が出来た様に思える時があります。

 日常、言葉を交わし合い、気持ちや心模様をさりげなく伝えておく。お互いに「違うんだ」と納得する。違いを間違いと言う判断をしないで「それも有りか」と一息つく事も大切ですね。

 人類は今でも違いを敵として戦争を繰り返す、違いを大きな壁にする愚かさから解放されていないのですから。

 今日も、違いから豊かさを学ぶ謙虚さを願いたいです。