人生に「壁」はつきものです。人生の壁と無縁に歩ける人はそういないのだろうと思います。しかし、「壁」を「壁」と捉えるかどうかは、その人の物事の見方や捉え方で大きく異なるのでしょう。そう考えると、人生の中で「壁にぶち当たった経験がない」という人も出てくるかもしれません。一般的には、若い時には「大きな壁」にぶつかったほうがいい、それを乗り越えることで大きく成長すると言われます。しかし、その一つの壁が原因となって、次の一歩を歩みだせない人も少なからずいるのだろうと思います。
いずれにしても、人は多かれ少なかれ、人生の歩みの中で行き詰まりを感じたり、希望を持てなくなったりして、もうだめだと思うことを幾度となく経験します。それを「壁」と表現するかどうかは別として、その時、何とかこの状況を打開しようと思いを巡らしたり、試行錯誤を繰り返したり、神頼みをしてみたり。
『希望のつくり方』という本の中で著者の玄田有史(げんだゆうじ)氏は「大きな壁にぶつかったときに、大切なことはただ一つ。壁の前でちゃんとウロウロしていること」という言葉を記しています。そして、「どうしよう、どうしようと、とにかく立ち止まらずに壁の前を行ったり来たりする。その時本当に偶然なのですが、壁の下に小さな穴が見つかったりすることがある。」と壁の前でウロウロすることの意味を説明しています。
大事なことは、壁をすり抜ける技を身に付けるのではなく、無駄な動きかもしれないけど、ウロウロしながら小さな「穴」を見つけること。
大きな壁に対応する力、変化に対応できる力、そして希望や信頼という力は、その穴を見つける過程の中で身に付けていくのかもしれません。