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大きな壁

シスター 山本 ふみり

今日の心の糧イメージ

 私の感じる大きな壁は、いつもどこか誰かのせいにする私が作る壁だ。誰かのせいにすれば楽だし、まるで被害者気取りで、その人がいなければうまくいくかのように錯覚してしまう。そんな自分の姿を正直に見つめると、いつまでも成長できない未熟な自分自身を見る。残念な事にそれは多々あり、ちっぽけな自分自身を見せつけられ落ち込む事が多い。

 人は何故、壁を作るのだろうか? 自分を守る為? 区別する為? 壁そのものは悪でもないような気もする。区切りをつけて選別し流通を良くし間違いなく届ける事が出来る。時短でスマートに事を運ぶには必要だ。壁は有っていい。

 皆平等ではないこの世にあって、壁によって守られていることもある。壁によって自分のリラックスできる空間を作れるし自由な時間を過ごせる。それがなければリセットできないし、次に進むための体力も得られず、毎日を過ごすことも難しいだろう。肉体的にも精神的にもやはり壁は必要だ。それは休息とリフレッシュの時を作ってくれているし、自分を取り戻す為に必要だ。

 静かな空間をつくるには壁が必要だ。神聖な空間なら尚更だろう。

 しかし、壁をつくることで差別や偏見を生むようなら問題になる。

 そしてそれは自分自身が作ることの方が多い。

 決めつけてかかると酷くなる。挑戦する事を忘れ、何事もないのが平和だと勘違いし傷つく事を恐れる。自分の殻を破るのと似て、時として自分の内側から打ち破る事が必要な時もあるように思う。通らなければならない試練ならば、神様はそれに堪え得るだけの恵みと力も一緒にくださる。そう信じている。

 自分の前に立ちはだかる大きな壁から、出来るだけ逃げないで恵みとして受け止め成長の糧にできますように。