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自然への感謝

松尾 太 神父

今日の心の糧イメージ

 雲が気ままに流れていくのを見ると、とてもうらやましく思うことはありませんか?

 雲は形も自由に変えられるし、どこにでも行けます。まるで天使のような感じがします。

 けれども、実際にはそんなロマンチックなものではなくて、その雲を顕微鏡レベルで観察すると、ただの氷と水滴のあつまりで、その氷や水滴の核になっているのは空気中の塵やゴミ...と思っていたら、どうもそれだけではなくて、中には微生物もいっしょになっていることもあるそうです。このように雲に乗って移動する様々な微生物たちが、生命の循環や気候の変化にも深くかかわっている可能性もあるといいます。

 この、目に映らないほど小さな生きものたちが、あの大きな雲をもくもく形づくって大空を駆け巡り、世界中で恵みの雨を降らせているとすると、まるで雲にも意志があるように思えてきます。

 こんなに身近にも、そんなミクロの天使たちのような見えない生きものたちが、ものも言わずにせっせとはたらいて、このいのちを支えてくれているのかと思うと、世界をおつくりになった神さまの思いやりの、途方もない深さを考えさせられます。

 わたしたちの小学校の玄関にある水槽をのぞき込んで、子どもたちが今日も一生けんめい小さなメダカを見つめています。幼い子どもたちは小さなものから大きなものまで、生きものに興味津々です。

 ルカの福音書に「ごく小さなことに忠実な者は、大きなことにも忠実である。」とあります。(16・10)

 その様子を見ていると、小さな生きものの中に隠された神さまの大きなまごころを、子どもたちは知っているかのようです。