▲をクリックすると音声で聞こえます。

自然への感謝

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 新型コロナの流行がきっかけで、私は食品と日用品の買い物を宅配に切り替えました。店に行っても、品物を見て選ぶことができない私は、キュウリ一本買うのにも誰かの助けをいただかなければなりません。たまにちょっとしたものを買うだけならさほど大変ではないのですが、日常の買い物となると簡単にはいきません。ましてや、コロナ禍で人と距離を取る必要が出てきたため、私は「買い物弱者」どころか「買い物難民」となり、お店で助けをお願いしたり誰かに同行をお願いしたりしにくくなりました。

 そんなときに宅配利用の環境が整ったことは、まさに天の助けでした。

 最初は、自分で自由に選んだ商品を丁寧に届けていただけることに感動し、感謝していました。

 そんなある日、九州から届くはずのカステラが欠品になりました。

 聞いてみると、大雪で飛行機が欠航し、品物を運べないためとのことでした。

 このことがあって、私の感謝の気持ちは、届けてくださる配達員さんだけでなく、遠くから品物を運び、一つ一つ仕分けし、一人一人の利用者の名前を書いたシールを貼った袋にまとめてくださる物流担当のみなさんへと発展し、さらには、この遠距離の移動をつつがなくさせてくれている自然の営みにまで広がっていきました。

 大雪が降らず、みんなが元気に働けて、間違いなくカステラを私の名前付の袋に入れてくれて、それを配達員さんが届けてくれて、初めてあのフワフワのカステラが私の手の中にやってくるのです。特に、天変地異がないことは、大きな要素だと痛感しました。

 数ある自然の恩恵の中でも、静かに自然がそこにあること、それ自体が感謝に値することなのだと、あらためて思うのでした。