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自然への感謝

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

 群馬県などの北関東では、冬になると「縮みほうれん草」がスーパーに出回ります。普通のほうれん草よりも色が濃く、確かに縮んでたくさんのシワがよっています。これは冬に外に出して寒風にさらし、葉を縮ませ、味を凝縮するためだそうです。ほうれん草は、凍るのを避けて葉の中に糖分を蓄えて甘くなります。また、太陽を多く受けようと地べたを這うようにして葉を広げ、縮んで肉厚になり、えぐみがなくなるそうです。

 縮みほうれん草がそのようにして作られるのを知り、はじめはあまりにも過酷な感じがして買う気が起きませんでした。でもある日、一度味わってみようと思い、購入すると美味しくて驚きました。

 さて、このほうれん草を知って連想したのは、私がよく見るテレビのトーク番組です。

 たくさんのゲストが来てご自分の仕事や人生について語られるのですが、時に味わい深い、忘れられない人がいます。彼らは、たいてい幼少期に大きな苦労をなさったり、人生半ばで絶望的な状況に陥って、苦しみもがき、努力を重ね、存在感のある俳優や歌手になった方たちでした苦難を乗り越えた末の華やかな笑顔には大きな魅力があります。

 聖書には、「わたしに従いたい者は自分の十字架を背負ってわたしに従いなさい」というイエスの言葉があります。(マタイ16・24)また、「わたしは世の光です。わたしに従う者は暗闇の中を歩まず、命の光をもつ」という言葉もあります。(ヨハネ8・12)

 試練を投げ捨てず、しっかりと十字架を受けとめ、苦しみながら懸命に生きてきた人は、味のある人になります。彼らの言葉や作品には神さまからの光があるので、人を喜ばせ、希望をもたせられるのではないでしょうか。