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自然への感謝

こいずみ ゆり

今日の心の糧イメージ

 庭の樹々が雨に濡れてエメラルド色に輝く季節になると、庭木の剪定について手ほどきを受けた時のことを思い出します。庭師に鋏の持ち方から教わり、わたしも枝葉の整理を実践してみました。樹の中の方にも風が通り、太陽の光が届くように工夫する作業は散髪のようで、剪定バサミの心地よい音が響き、とても爽やかな気分を味わえます。

 樹木が健康に育つために剪定はとても大切なことですが、実は「樹の種類によって、剪定に適するタイミングが違う」そうです。

 ある樹は冬の間、つまり樹が冬眠している間に鋏を入れると、春に目覚めた時に元気に若枝を伸ばし、また別の樹は生き生きと枝を伸ばしている季節に鋏を入れると、勢いづいてさらに成長するそうです。このように剪定の時期は、それぞれの樹の個性に合わせてあげることが大切であることを学びました。

 聖書ではわたしたち人間を「神の家の庭に植えられた木」として表現されることがあります。(参 詩編92・14)

 神さまはわたしたちに命を与え、天から目を注いで慈しみ深く見守っていてくださることも語られています。

 そのように神さまに愛されているわたしたちの心に利己心や歪みが増してきた時、わたしたちが健やかに成長することを期待してくださっている神さまは、庭師のように手入れをしてくださることでしょう。

 人生には予期せぬ試練に見舞われる時があり、つい「悪いことが起こった」と捉えがちですが、わたしたちに何が欠けていてどのような補正が必要かご存じの神さまが、一人一人にちょうどよいタイミングを見計らって、整えてくださっている時だと思います。
 鋏を入れていただき、光と風が通りやすくなった心で神さまの喜ばれる樹に成長することができますように。