思いがけない妊娠に戸惑う女性の悩みを聴き、お腹の赤ちゃんのいのちを守るために作られたNPO法人の事務局で働かせていただいたことがあります。
主な活動は、無料電話相談です。
電話相談員は、年齢や職歴は違っても、皆相談員としての研修を受けてきた人々で、全員がボランティアでした。他の仕事や家族の介護などの合間を縫って来られる方、遠方から片道2時間ほどかけて来られる方、足がご不自由で杖をつきながらバスと電車を乗り継いで来られる86歳のご婦人もおられました。
そうして、悩みがあっても、身近な誰にも相談できない人のために、少しでも役に立ちたいと、いつかかってくるか知れない電話を待つのです。
相談内容は、思いがけない妊娠に関しての様々な悩みです。
「妊娠したかも知れないけど、お金がない」「産婦人科に受診する勇気がない」「妊娠を彼に伝えたら連絡がとれなくなった」「出産を彼・夫・家族から反対されている」「病気や経済的な理由で、出産するのが不安」「まだ若いので自分で育てる自信がない」など。
悩める人たちの話をよく聴き、気持ちに寄り添いながら、助言を与え、いのちの大切さも伝えていきます。
最後は、「ありがとうございました」と感謝されることはありますが、すぐに切れてしまう電話もあります。自分が話し過ぎたのではないか、もっとうまく言えたのではないかと、反省することもあるようです。それでも、悩む人が救われ、お腹の赤ちゃんのいのちが守られることも少なくはありません。
同じような活動をしている法人は、全国にいくつもあります。
一本の電話によって、人と人との絆ができ、尊いいのちを守ることができればと願っています。