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人との絆

コリーン・ダルトン

今日の心の糧イメージ

 娘が3歳になるまで我が家に車はありませんでした。

 ある日近くのバス停までゆっくり歩いていると、鳥の一群がけたたましく鳴きながら、道向かいの電線に止まりはじめました。見上げると、娘が訊いてきます。「マミー、鳥たち、何しているの?」

 「整列して、バスを待っているのよ」と、答えました。

 娘は混乱して、しばらく何も言いませんでした。それから、かすかにほほ笑むと、こう言います。「いや、音楽会のための練習をしている、と思う。」
 「いや、それはちがうでしょ。映画が始まるまで、お話してるんでしょ」と、言ってみます。

 こんな調子で私たちは数分間、想像の羽をはばたかせてはこの戯れを繰り返していました。鳥たちにトイレの順番待ちをさせたり、幼稚園の礼拝の時間の準備をさせたりして、笑いつづけました。なんて楽しい時だったことか。

 その日なぜ私が遊び心でそう答えたのか、わかりません。鳥たちは骨休めをしているのよとか、食べ物を探しているのかもとか、暖をとっているのかな、などと答えられたのに。そうだったとしても、私たちのおしゃべりの実りは同じようにあったかもしれません。不思議をめぐって一緒に考えるうちに、近しくなっていったのです。

 今日私たちの周りは溢れんばかりの情報で満たされています。たしかに科学技術は私たちの生活を進歩させてきました。でも、人間は、老いも若きも、つながりに飢えているのです。時に答えだけを提示しても私たちを分かつだけですが、一緒に首をかしげて考えると、いつも私たちを結びつけてくれます。

 あの日、娘と私はなんら結論に至りませんでした。それでも、私の手を握る娘の手を今でもひしひしと感じることができます。