▲をクリックすると音声で聞こえます。

大切なこと

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 最近のニュースを見ていると、世界各地で自然災害や事故、戦争や紛争などが起こっており、それによって命を落とす方々が多いように見受けられます。情報伝達手段が発達して、より多くのニュースを見聞きできることによるのですが、本当に心が痛くなるニュースばかりが続いています。このようなニュースを見るたびごとに、一人一人に与えられている命は、本当に大切なものなのだと痛感します。

 私たちが普段、気にもしないことではありますが、実は、ニュースで報じられている事柄は、明日の自分の姿かもしれないのです。自然災害で被害を受けたり、事故の当事者になったりする可能性が常にあるということです。人の命ははかなく、短いものなのです。しかしながら、一人一人に与えられている命は、それゆえにとても大切で貴重な命なのです。

 私自身を含めて、この私を取り巻く命の営みは、とてつもなく尊く、大切なものです。誰一人として、そして何一つとして軽んじられることなく、尊重されなければならない存在なのです。ここに「隣人愛」の掟が光を放ちます。一人一人、そして、自然を含めた環境がまことに大切なものであるからこそ、お互いに、そして環境を大切にする、という掟の本質が見えてくるのです。

 たとえ、私にとっては敵となる存在であっても、神さまの視点から眺めてみると、私の敵も大切な命を持っている存在なのです。命について真剣に考える時、私たちは「自分中心の視点」から「神さまの視点」へと考え方を変える必要があります。そして、そうしなければ、命の大切さはなかなか見えてこないのです。そして、視点を変えて改めて命を見つめた時、その命の一つ一つは輝きを放ってくるのです。