人にとって、大切なことはいろいろありますが、「心の平安」こそ、自分自身にとってのみならず、全世界の人々に、今、 一番求められていることではないでしょうか。
心が平安な状態とは、過去を振り返らず、将来のことを心配せず、「今」の状態をありのままに平静に受け入れることだと思います。このことは、私たち独りひとりに与えられた人生最大な課題だと思います。だれでも頻繁に、「こうすればよかった、ああすればよかった」とか、「どうしてあの人は、あんなことを言って私を傷つけたんだろう」など過去に起きたことを思い出し、悔やんで、必要でないことを考え込んだり、気を悪くしたり、心配したりします。このように自分や他人を責めることで、いいことは何もありません。
結局どうなるかというと、自分の感情と考えはマイナス気分に追い詰められ、生産性を失い、前に進めなくなってしまいます。「今」、「現在」を受け入れ、気持ちよく生きるために、まず必要なことは、自分と他人を「ゆるす」ということだと思います。米国の小説家、マーク・トウェイン(Mark Twain) が、「ゆるしとは、踏みにじられたスミレの花が、自分を踏みにじった踵に放つ香りである」*と言っていますが、その通りだと思います。この美しい例えこそ、自分が毎日実践したいことであります。
「ゆるす」ということは、そんなに簡単なことではありませんが、よく考えてみると心に開放感と、前向きに生きる力を与えてくれるとても大切なことであります。これからなにがあっても、与えられた「今」を元気に生きていくために「ゆるし」の大切さを自覚し、ゆるしの心を常に持ち続けたいものであります。
*( Forgiveness is the fragrance that the violet sheds on the heel that has crushed it)